- インドアのつもりでトスを上げると、ホールディングをとられてしまう
- 2人しかいないから、レシーブした人がそのままトスに入ることも多くて戸惑う
- 風で流れるボールを、どうやってスパイカーに合わせればいいかわからない
こんな悩みを解決します。
ビーチバレーのトスがインドアと大きく違うのは、オーバーハンドの判定が厳しいことと、風を計算に入れる必要があるという2点です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
インドアで長く指導してきた立場から見ても、ビーチのトスは「同じオーバーハンドパスなのに別物」です。
その理由は、砂の上を2人で守るという競技の仕組みと、屋外ならではの風にあります。ここを押さえるだけで、トスの安定感がぐっと変わるんです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- ビーチでオーバーハンドの判定が厳しい理由と対策がわかる
- 指を使わずに上げる「ロブ(手のひらトス)」の使い方がわかる
- 風の中でスパイカーに合わせるトスの考え方がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:ビーチのトスは「規制」と「風」で選び分ける

先に結論からお伝えします。ビーチバレーのトスは、オーバーハンドの判定が厳しいぶん、手のひらで運ぶロブという選択肢を持っておくことが安定への近道です。
ビーチのトスは「オーバーで回転を消す」か「ロブで確実に運ぶ」かを、状況で選び分ける。
インドアなら、少しくらい指先で回転がかかっても流されることは多くありません。ですがビーチでは、同じ動きでもホールディング(キャッチ)をとられやすくなります。
そこで、指を使わず手のひらで押し出すロブという上げ方が、大きな武器になるんです。
- オーバーハンドの回転を、これまで以上に消す
- 判定が不安な場面はロブに切り替える
- 風の分だけ、狙いを風上寄りにずらす
サルくんインドアと同じオーバーで上げちゃダメなの?



ダメじゃないよ。ただ、判定がずっと厳しいんだ。だから回転を消す精度を上げて、あやしい時はロブに切り替えるのが安全なんだよ。
トスの土台になる考え方は、インドアもビーチも変わりません。ボールが落ちてくるまで待って、下半身から力を伝えて押し出す、という基本は共通です。
その基本の上に、ビーチでは「規制の厳しさ」と「風」という2つの条件が乗ってくる、とイメージしてください。
なぜビーチはオーバーの判定が厳しいのか
ビーチバレーでオーバーハンドパスの判定が厳しいのは、競技のルールがボールを「はじく」動きを重く見ているからです。



スコシノ カイテン デ ホールディング
ボールに少しでも回転が残っていると、審判は「持った(キャッチした)」と判断しやすくなります。インドアより、この基準がはっきりと厳しいんです。
ビーチでは、トスにわずかな回転が残っただけでもホールディングをとられやすい。
インドアで身についた指先のクセが、ビーチではそのまま反則につながることがあります。だからこそ、回転を消す精度を上げることが最初の課題になります。
回転を消す動きは、インドアのトスの考え方とまったく同じです。おでこの近くで手を構えて、ボールが落ちてくるのを待ち、左右の手の力を均等に押し出します。



左右どちらかの手が強かったり、片方が先に離れると回転がかかる。ビーチではそれがそのまま反則になりやすいんだ。
もう一つ、ビーチには「オープンハンドのプッシュ(ティップ)が反則」という考え方もあります。指先でボールを弾いて相手コートへ送る攻撃が制限されるため、指を立てる動きそのものに注意が向きます。
さらに、オーバーハンドには方向の制限もあります。
- 味方のアタッカーへ上げる:体の向きと違う方向へ出ても問題なし
- 相手コートへ直接返す:体の正面・真後ろ・真横の方向のみ
斜めに流すオーバーで相手コートへ返すと反則を取られます。返す時は、体の向きを返したい方向へ合わせてからプレーしましょう。
こうした背景から、ビーチでは「指ではじく」動きが目立つと不利になります。手のひらで包んで運ぶ意識を、少しずつ育てていきましょう。
回転を消すオーバーハンドトスのコツ


判定が厳しいビーチだからこそ、まずは回転を消したオーバーハンドを磨くのが基本です。インドアで学んだ手の形を、より丁寧に再現していきましょう。
- おでこの近くで手を構えて、ボールの落下を待つ
- 左右の手の力を、均等にそろえて押し出す
- 両手の甲が中央で向き合うように運ぶ
手は、ボールを包み込むように三角形を作ります。親指・人差し指・中指と、その付け根で押し出すイメージです。指先だけで弾こうとしないのがコツです。



待ってから押し出すのは、インドアのトスと同じなんだね。



そう。基本は同じだよ。ビーチはその精度が、そのまま判定に直結するってことなんだ。
回転がかかる原因の多くは、左右どちらかの手が強かったり、片方の手が先にボールから離れることにあります。ここをそろえるだけで、回転はかなり消えます。
砂の上では足元が沈むため、下半身の力がインドアほどまっすぐ伝わりません。だからこそ、体幹を締めて姿勢を安定させ、力のロスを減らすことが大切になります。
砂で足元が沈むぶん、体幹を締めて姿勢を安定させ、力のロスを防ぐ。
回転が消えているかは、ボールの模様で確認できます。模様が回らずに上がっていれば、左右の力がそろっている合図です。
砂の上でいきなり感覚をつかむのは難しいので、体育館や自宅でできる準備も役に立ちます。おすすめは、ボールを思いきり高く上げる練習です。
高く上げようとすると、指先だけでは弾ききれず、自然と下半身の力と指の付け根まで使うようになります。回転を消す感覚も、この練習の中で一緒に育っていきます。
指を使わない「ロブ(手のひらトス)」の使い方
オーバーの判定が不安な場面で頼りになるのが、ロブと呼ばれる手のひらのトスです。指を立てずに、手のひらでボールを運びます。
ロブは、指を使わず手のひらで押し出すトス。回転がかかりにくく、ホールディングをとられにくい。
指ではじかないぶん、回転がかかりにくく、反則の心配が減ります。レシーブが乱れて体勢が崩れた時や、判定に自信が持てない場面での安全策になります。



ロブって、山なりにふわっと上げるトスのこと?



そうだね。手のひらで押し出して、高めの山を作るイメージ。指ではじかないから、回転が残りにくいんだ。
手のひらの面でボールを受け、そのまま押し上げるように運びます。強く弾くのではなく、体全体でふわりと運ぶ感覚です。
- レシーブが乱れて、体勢が崩れている時
- オーバーの判定に自信が持てない時
- 風が強く、確実に高さを出したい時
ロブのデメリットは、オーバーハンドに比べて狙った位置への細かいコントロールが難しいことです。高さは出せても、左右の微調整は指を使うトスに一歩劣ります。



だから、時間があって体勢も整っている時は、回転を消したオーバーの方が正確に上げられる。ロブは崩れた時の安全策、と考えるといいよ。
つまり、オーバーとロブは「どちらが正解」ではなく、状況で選び分けるものです。整っている時はオーバー、崩れた時や不安な時はロブ、と覚えておきましょう。
2人制ならではのトスの入り方
ビーチは2人で守るため、トスに入る動き方もインドアのセッターとは変わります。決まった1人がいつも上げるわけではないからです。
ビーチでは、レシーブしなかった方がトスに入る。役割は固定ではなく、そのつど入れ替わる。
インドアのように専任のセッターはいません。1本目をレシーブしなかった方が、そのままトスに入るのが基本です。だから2人とも、いつでもトスを上げられる準備が必要になります。



レシーブした人はスパイクに走って、しなかった人がトスに入るんだね!



その通り。2人で役割を回すから、片方だけがトスが上手でも成り立たないんだ。
トスに入る時の考え方は、インドアと同じです。手をおでこの上に上げたまま走るのではなく、腕を振って急いで落下点に入り、止まってから手をセットします。
砂の上は移動が遅いので、落下点への到達はインドアより難しくなります。いつも以上に早めの動き出しを意識しましょう。
もう一つの違いは、スパイカーとの距離感です。ネットからどれくらい離すか、どんな高さで上げるかを、パートナーと事前に話し合っておきましょう。
決めておけば、レシーブが乱れた時でも合わせやすくなります。
2人しかいないぶん、声かけの大切さもインドア以上です。声は気合いではなく、相手に動いてもらうための情報だと考えてください。
どちらも触れるボールは、先に声を出して動き出した方が取ります。この決まりを2人で共有しておくだけで、お見合いはぐっと減らせます。
風の中でスパイカーに合わせる考え方
屋外のビーチで避けて通れないのが、風の影響です。同じトスでも、風があるだけでボールの落ち方が大きく変わります。



カゼノブン ネライヲズラス
追い風はネットへ流され、向かい風は手前に落ちる。風の分だけ狙いをずらして上げる。
追い風の時は、ボールがネット方向へ流されます。いつも通り上げるとネットに近づきすぎるため、少し手前(自分側)を狙って高さを抑えると合わせやすくなります。
向かい風の時は、逆にボールが手前に落ちてきます。この場合は、いつもより少しネット寄りを狙って上げると、スパイカーの打点に届きやすくなります。



横からの風だと、どうすればいいの?



横風は、風下へ流される分だけ風上寄りを狙うんだ。試合前に風の向きをつかんでおくと、あわてずにすむよ。
風の強い日は、トスを高く上げすぎると流される時間が長くなります。ロブで高さを出すよりも、やや低めで速く運ぶ方が、風の影響を受けにくくなることもあります。
- 追い風:少し手前を狙い、高さを抑える
- 向かい風:少しネット寄りを狙う
- 横風:風下へ流れる分、風上寄りを狙う
大切なのは、試合前のアップで風の向きと強さをつかんでおくことです。同じコートでも、時間帯やコートチェンジで風向きは変わります。
風はやっかいに見えますが、味方につければ相手も同じ条件で戦っています。あわてず「風の分だけずらす」と考えれば、落ち着いて対応できます。
ビーチのトスについてよくある質問
まとめ:規制と風を味方にするトスへ
ビーチバレーのトスは、オーバーハンドの判定が厳しく、風の影響を受けるという2点でインドアと大きく違います。ですが、回転を消す基本と、ロブという選択肢を持てば、落ち着いて対応できます。
| 場面 | 選ぶトス | ポイント |
|---|---|---|
| 体勢が整っている | 回転を消したオーバー | 左右の力をそろえて押し出す |
| 崩れた・判定が不安 | ロブ(手のひら) | 指を使わず面で運ぶ |
| 風が強い | やや低め+狙いをずらす | 風の分だけ風上寄りへ |
オーバーで回転を消す、あやしい時はロブ、風の分だけ狙いをずらす。この3つで安定する。
私は元日本代表として、環境が変わっても「基本を丁寧に再現できる選手」が結局は安定することを何度も見てきました。ビーチのトスも、待って・そろえて・押し出す基本は変わりません。



まずは回転を消す練習と、ロブの感覚をつかむぞ!



いいね。そのうえで風に慣れていけば、ビーチのトスはどんどん安定するよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
ビーチバレーについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
🔎 パフォーマンスアップや日頃のケアに役立つ用品は、Amazonでバレーボール用品を探すと見つけやすいです。









