- セッターになったが、トスの基本フォームが分からない
- トスが流れる・低い・ブレるが原因が特定できない
- アタッカーが打ちやすいトスを安定して上げたい
こんな悩みを解決します。
バレーボールのトスは、手の形・体の使い方・落下点予測の3要素で決まる技術です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールを運営してきた経験から、トスが安定しないセッターの多くは手の形ではなく落下点予測でつまずいていることが共通点だと感じています。
落下点が読めれば構えが早くなり、構えが早ければ手の形が安定し、結果としてトスが揃います。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- トスの4種類(オーバー・ジャンプ・バック・サイド)の使い分けが分かる
- 正しい手の形と指の使い方が手順で身につく
- アタッカーが打ちやすいトスの3つの条件が分かる
トス全般の練習・配球戦術の詳しい解説は、別記事で深掘りしています。
それでは、まずトスの全体像から見ていきましょう。
結論:トスは手の形よりも落下点予測で決まる
先に結論からお伝えします。
落下点で構えを早く作る。 おでこの前で指の付け根で受ける。 膝の屈伸で全身で運ぶ。
これがトスの3大判断です。
トスで難しいのは指の感覚ではなく、ボールが落ちてくる場所に先回りすることです。
落下点に先回りできれば、手の形も体の向きも安定し、自然と良いトスが上がります。逆に落下点を見誤ると、いくら手の形が正しくてもトスは流れます。
つまり、トス上達の鍵は指の感覚ではなく、落下点予測の精度にあるんです。
バボット手ノ形ダケ練習=不十分 / 落下点予測=最優先



トスは「正面で受ける」のがすべての基本。落下点に走り込めれば8割の問題は解決しますよ。
このあと、4種類のトスと、それぞれの正しい使い方を見ていきます。
トスの4種類と使い分け
トスは大きく分けて、次の4種類があります。
| 種類 | 主な場面 | 特徴 |
|---|---|---|
| オーバーハンドトス | レフト・ライト・センターの定番 | 最も基本・コントロール最優先 |
| ジャンプトス | スピーディな攻撃 | 相手ブロックの構え遅れを誘う |
| バックトス | ライト攻撃 | セッターの後方にトス |
| サイド(横向き)トス | 体勢が崩れた時 | 緊急対応用 |



オーバー=基本 / ジャンプ=戦術 / バック=応用 / サイド=緊急



まずオーバーハンドトスを徹底的に固める。これができてから他の3種類に進むのが王道ですよ。
オーバーとジャンプ、どっちを使うか
- 試合序盤・安定優先 → オーバーハンドトス
- スピード攻撃でブロックを置き去り → ジャンプトス
- 自分が後衛(ローテーション) → オーバーハンドトス
- アタッカーとの呼吸が合っている → ジャンプトス
ただし「ジャンプトスばかり」「オーバーばかり」は読まれます。場面で混ぜるのが大事です。
オーバーハンドトスの基本
オーバーハンドトスは、頭上で両手の指を使ってボールを上げる技術です。



オーバー=指デ包ム+おでこノ前+膝デ運ブ
手の形と指の使い方
両手の指でボールを「包む」ように受けます。
ポイントは、次の3つです。
- 親指と人差し指でハート型を作る(指先は離す)
- 指は自然に曲げる(ピンと伸ばさない)
- おでこの前で受ける(顔から離しすぎない)
ボールに触れるのは指の付け根(第二関節より下)、指先ではありません。
指先で触ると、ボールの衝撃が指関節に集中して痛みや突き指につながります。
落下点予測と構えのタイミング
トスの命は、ボールが落ちてくる場所(落下点)にボールが来る前に到着して構えを完成させることです。
予測のコツは、次の3つです。
- パスが上がった瞬間に、ボールの軌道から落下点を推定
- その地点まで素早く走る
- 到着したら正面でおでこの前に手をセット
落下点予測の精度を上げる練習として、目を閉じてパスを受ける練習は有効ではありませんが、パスが上がった瞬間に「ボールから目を切って先回り」する練習は効果が高いです。
ボールばかり見ていると、自分が動くタイミングが遅れます。「自分の足が動いてからボールが届く」順序を意識すると、構えに余裕が生まれます。



ボールが上がってから慌てて走るんじゃダメなんですね…



そう、パスの瞬間に動き出す。これだけで一気にトスが安定するよ。
押し出し方
ボールが面に触れた瞬間に、膝の屈伸を使って全身でボールを押し上げます。
腕だけで上げようとせず、足から始まる連動でボールを運ぶイメージです。
膝を使えるようになると、力みが減り、アタッカーが打ちやすい「ふわっと止まる」トスが上がります。
オーバーハンドトスでよくある間違い
- 指先で触っている → 指の付け根で支える
- 構える位置がおでこから遠い → 顔のすぐ前で受ける
- 腕だけで上げる → 膝の屈伸を使う
- 横や斜めで受ける → 足を動かして正面で受ける



セッターの上手さは「指」ではなく「膝と落下点予測」に出ます。上達したいなら、まず足を鍛えるのが近道です。
ジャンプトスの基本
ジャンプトスは、空中でオーバーハンドトスをする技術です。



ジャンプトス=スピード+ブロック遅延=戦術武器
ジャンプトスを使う理由
ジャンプトスを使う最大の理由は相手ブロックの構え遅れを誘うことです。
トスが上がる前にセッターがジャンプすると、相手ブロッカーはアタッカーへのパスかダイレクトかを瞬時に判断する必要があり、構えが遅れがちになります。この時間差が攻撃の決定率に影響します。
ジャンプトスのコツ
- 助走は3歩(走り込みすぎない)
- 最高点で触れるのではなく上に押し上げる
- 着地は両足同時(片足はバランス崩壊)
ジャンプトスはオーバーハンドトスができてから取り組む技術です。指の使い方が不安定なまま空中で行うと、トスの方向が大きくずれます。



ジャンプトスは「中級以上の技」。まず立ったオーバーで安定させてから取り組みましょう。
バックトスとサイドトスの基本
セッターは「前」だけではなく、「後ろ」と「横」にもトスを上げます。
バックトス(後方トス)
ライト側のアタッカーに上げるトス。視線は前のまま、ボールを頭の後ろに上げます。
- 体は前を向いたまま(振り向かない)
- 手は頭の真上ではなく、やや後ろで受ける
- 腰を反らせて押し上げる(腰の柔軟性が必要)
バックトスは腰の負担が大きいので、ウォームアップで必ず腰回りを温めてから練習します。



バックトス=腰負担大=成長期ハ反リスギ注意
サイドトス(横向きトス)
体勢が崩れた時、横向きで上げる緊急トス。
- パスが流れて、正面で受けられない
- 体が斜めの状態
- 緊急で攻撃を組み立てたい
サイドトスは技術というより緊急対応なので、毎回の判断が違います。普段のトス練習で固めた手の形を、無理な体勢でも崩さないことが目標です。
アタッカーが打ちやすいトスの3条件
セッターのトスは「自分が上げやすい」ではなく「アタッカーが打ちやすい」が正解です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 1. 安定した高さ | アタッカーがいつもの打点で打てる |
| 2. ネットからの距離 | 振り抜けるけどネットに触れない |
| 3. タイミング | 助走スピードに合う到達時間 |
条件①:安定した高さ
トスの高さは、アタッカーの最高到達点 + 50cm程度が目安です。
高すぎると待つ時間が長くなって相手ブロックがそろい、低すぎると打点が下がります。
条件②:ネットからの距離
トスはネットから 30cm 〜 1m の範囲がひとつの目安です(攻撃種類・アタッカーのレベル・体格で変わります)。
ネットに近すぎるとオーバーネット・タッチネットのリスク、遠すぎると強打の威力が出ません。



「ネットから 50cm」を最初の基準にして、アタッカーの体格や好みで微調整します。
条件③:タイミング
アタッカーの助走スピードに合わせて、トスの到達時間を調整します。
- 速い助走 → トスは低めで早く到達
- 遅い助走 → トスは高めでゆっくり到達
セッターはアタッカーごとに違うリズムを覚える必要があります。



同じトスでも、アタッカーによって最適解は違います。1人1人の好みを聞いて調整しましょう。
トスが安定しない原因と直し方(症状別)
トスが伸び悩む時は、症状別に原因を特定するのが最短ルートです。指導現場でよく見る5パターンを整理します。
症状①:トスが流れる(横にズレる)
最も多い悩み。原因は次の3つです。
- 正面で受けていない(体の横で受けると面がズレる)
- 両手の高さが揃っていない(片手が高いと方向が偏る)
- 押し出す方向が定まっていない(目線が打つ先を見ていない)
直す順番は足の動き → 両手の高さ → 目線です。
症状②:トスが低くなる(打点が下がる)
「届くけど打ちにくい」悩み。
- 膝の屈伸が弱い → 全身で押し上げる感覚を覚える
- 手首だけで上げている → 指の付け根全体で押し出す
- ボールへの構えが遅い → 落下点予測の精度を上げる
症状③:ボールが回転する
オーバーハンドトスで回転がかかると、アタッカーが打ちにくくなります。
原因はほぼ「両手の押し出すタイミングがズレている」ことです。左右の手が同時にボールに触れて、同時に押し出す感覚を、対面トスで反復します。
症状④:指が痛くなる(突き指のリスク)
オーバーハンドトスで多い悩み。原因は指先で触っていることです。
正解は指の付け根(第二関節より下)で支えること。指先で受けると衝撃が関節に集中し、突き指リスクが高まります。
症状⑤:アタッカーと合わない(打ちにくいと言われる)
「物理的には届くけど打てない」悩み。
- 高さがバラつく → 直上トス連続で安定感を養う
- ネットからの距離がバラつく → 構えの位置を毎回同じに
- タイミングが合わない → アタッカーごとの好みを聞く



「打ちやすかった?」と聞く習慣だけで、トスの精度はぐっと上がります。アタッカーへのインタビューが最強の練習方法ですよ。
トスでよくある失敗と直し方
セッターが伸び悩む時の代表的な失敗パターンを整理します。
よくある失敗5つ
- ボールを追ってから動く(落下点予測ができていない)
- 指先でボールに触れる(突き指リスク・コントロールも悪い)
- おでこより遠い位置で受ける(力が伝わらない)
- 膝を使わない(腕だけで上げて疲れる・ブレる)
- アタッカーを見すぎる(落下点が見れない)
直し方の優先順位
- まず落下点予測(これが最大の原因)
- 次に手の形(指の付け根で支える)
- 最後に膝の屈伸(全身で運ぶ)



上から順番に直すのが効率いいんですね!



そう、手の形だけ練習しても限界がある。落下点予測ができれば自然と全部が整うよ。
まとめ:トスは落下点予測と全身の連動で決まる
この記事では、バレーボールのトスの基本(オーバーハンドからジャンプまで)をお伝えしました。
トスの4種類
| 種類 | 主な場面 |
|---|---|
| オーバーハンドトス | 基本・コントロール最優先 |
| ジャンプトス | スピード攻撃・ブロック遅延 |
| バックトス | ライト攻撃 |
| サイドトス | 緊急対応 |
アタッカーが打ちやすいトス3条件
- 安定した高さ(最高到達点+50cm)
- ネットからの距離(30cm〜1m)
- タイミング(アタッカーごとに調整)
練習の順序
立ったオーバーハンドトス → 落下点予測の精度向上 → ジャンプトス → バックトス → サイドトス
次の練習で試したいアクション
- 直上トスを30回連続できるか測定
- パスが上がった瞬間に動き出せているか録画でチェック
- アタッカーに「打ちやすかった?」と聞く習慣をつける
セッターに向く選手の特徴
セッターに向いているのは、チームで何番目に上手いかではなく、正確にボールを運ぶ技術・周囲を見る力・アタッカーを活かす判断力を持つ選手です。
技術が高い選手でも、自分が決めたい気持ちが強すぎると、判断が偏りやすくなります。逆に、技術はそこそこでも「アタッカーを活かす」視点で動ける選手は、チームを勝たせるセッターになります。



今度の練習で落下点予測を意識してみます!



その小さな積み重ねが、チームを勝たせるセッターへの第1歩だよ。応援しています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
トスについては他にも記事を書いています。 気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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