割れたトスの打ち方|ネットから離れたトスで選ぶ6つの選択肢

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スパイクで割れたトスをアンテナ外から打ち切るコツ
  • 二段トスがネットから離れると、強打してもネットにかかってしまう
  • 割れたトスを思いきり打つと、相手コートの奥へアウトになる
  • ネットから離れたトスで、何を選べばいいのか分からない

こんな悩みを解決します。

割れたトスは、下へ叩き下ろすのではなく前へ・奥へ運ぶと考え、体勢とブロックを見て6つの選択肢から選ぶのが基本です。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

10年以上スクールで指導してきましたが、割れたトスでミスが続く選手は、ネットに近いトスと同じ角度で打とうとしていることが多いです。

助走の間に候補を絞っておけば、ネットから離れたトスでも慌てずに1点を狙えます。ぜひこの記事を参考にしてみてください。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • 割れたトス(ネットから離れたトス)がなぜ難しいのかが分かる
  • 6つの選択肢と、どれを選ぶかの基準が分かる
  • 助走の間と空中の2段階で判断する考え方が身につく
目次

結論:割れたトスは前へ・奥へ運び、6つから選ぶ

📘 スパイクの「場面ごとの答え」をまとめました
スパイク完全攻略 場面別の選択肢と基準(note)

この記事では、スパイクの技術を解説しています。トスが乱れた、ブロックがそろった…といった場面ごとに「何を選べばいいか」は、noteの「スパイク完全攻略」にまとめました。

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先に結論をお伝えします。割れたトスとは、ネットから離れた位置に上がったトスのことです。

ネットから離れているぶん、いつものように上から叩き下ろす角度は作れません。だから考え方を下へから前へ・奥へに切り替えて、使える選択肢の中から選びます。

割れたトスで使える6つの選択肢
  1. ブロックの上を越して奥へ深く打つ強打
  2. コースを優先する軟打
  3. 前の空いた場所へ落とすフェイント
  4. 空いている所へ押すプッシュ
  5. 打ちきれない時のリバウンド
  6. 奥へ強く弾かせるブロックアウト

どれを選ぶかは、自分の打点と体勢、そして相手のブロックとレシーバーの位置で決まります。強打だけに頼らず、選べる形を持っておくことが大切です。

サルくん

離れたトスでも、いつも全力で叩いていました…。

あげば

下へじゃなくて、前へ・奥へと考えるのがコツだよ。

選択肢を持っている選手は、ブロックがそろっても慌てません。決められないと分かった時に、ミスをせず次の手を選べるからです。

割れたトスとは?ネットから離れたトスのこと

まずは言葉の意味をそろえておきましょう。呼び方があいまいなままだと、チームの中で話がかみ合わなくなります。

ネットに近いトスの反対

割れたトスは、ネットに近いトスの反対にあたるトスです。ネットから遠いトスと呼ばれることもあり、意味は同じになります。

ネットに近いトスは、強く叩くとネットにかかったり、目の前のブロックに止められたりします。割れたトスはその逆で、ネットとの間に距離がありすぎるのが問題です。

乱れたレシーブからの二段トスで起きやすい

割れたトスがよく上がるのは、レシーブが乱れたあとの二段トスです。セッター以外の選手がコートの後ろのほうから上げるので、ネットまで届かないことがよくあります。

つまり割れたトスは、試合の中で何度も出てくる場面です。ここで失点しない選手は、それだけでチームを助けています。

サルくん

たしかに、二段トスはネットから遠いことが多いです!

アンテナの外まで伸びる長いトスとは別物

アンテナの外側まで伸びてきたトスは、割れたトスではなく長いトスと呼びます。ずれている方向がちがうので、選ぶものも変わります。

長いトスはストレートに打てず、打てる角度がかなり限られます。インナーに打ち抜けるなら打ち抜いてもかまいませんが、基本的には難しい選択です。

長いトスで現実的な2つの選択
  • 奥方向へのブロックアウト:速い平行トスが伸びてきて、味方がブロックの下までカバーに入れていない時
  • リバウンド:ハイセットで、味方がしっかりカバーに寄ってきている時

この記事では、ここから先はネットから離れた割れたトスについて解説していきます。

割れたトスが難しい理由と、実はある利点

割れたトスがやっかいなのは、いつもの打ち方がそのままでは通用しないからです。一方で、攻撃する側に有利な点もあります。

ネット越しに打ち下ろす角度が作れない

ネットから離れた位置で打つと、ネットの上を通してから相手コートに落とすまでの距離が長くなります。そのため、近いトスと同じように打ち下ろすと、ボールがネットにかかりやすくなるんです。

かといって、ネットを越そうとして当たりが上にずれると、ボールは相手コートの奥へ飛んでアウトになります。ネットとアウトの両方にはさまれる、これが割れたトスの難しさです。

割れたトスでは、近いトスと同じ角度で叩き下ろさないことが出発点です。

ブロッカーもタイミングを合わせにくい

難しいのは攻撃側だけではありません。ブロッカーは、相手のスパイクがネットの上を通るタイミングに合わせて壁を完成させます。

ネットから離れたトスでは、ボールがネットの上を通るまでに時間がかかります。だからブロッカーはジャンプをワンテンポ遅らせる必要があり、タイミングを合わせにくくなるわけです。

サルくん

ブロックにとっても、いやなトスなんですね!

あげば

そう。そこに勝負のチャンスがあるよ。

跳ぶのが早すぎたブロッカーは、ボールがネットの上を通る頃には手が下がり始めています。こういう場面では、ブロックの上を越す強打が通りやすくなります。

判断は2段階で絞る

割れたトスで迷わないためには、判断のタイミングを2つに分けておくことが大切です。空中に上がってから考え始めたのでは間に合いません。

1段階目:助走の間に候補を絞る

トスが上がって助走をとっている間に、トスの軌道を見て割れたと分かった時点で、おおよその候補を決めておきます。叩き下ろす強打は、この時点で候補から外します。

私がスクールで教えているのも、割れたと分かった瞬間に叩き下ろす強打を頭から外すことです。

次に、自分がどのくらい良い形で入れそうかを考えます。打点を高くとれそうか、それとも体勢が苦しくなりそうかで、候補はさらに絞れます。

1段階目の絞り方
  • 打点を高くとれそう:奥への強打・奥へ弾かせるブロックアウトを中心に
  • 体勢が苦しくなりそう:軟打・フェイント・プッシュ・リバウンドを中心に

2段階目:ブロックとレシーバーを見て決める

跳んだあとは、ブロックの位置取りや手の出し方を見て、1段階目の候補に判断を重ねます。手が前に強く出てくるのか、跳ぶのが早いのか、どこにレシーバーがいるのかを見ていきます。

候補が2つか3つに絞れていれば、空中では選ぶだけで済みます。何も決めずに跳ぶと、ゼロから考えることになり、スイングが中途半端になりがちです。

サルくん

空中で全部を考えるのは無理でした…。

あげば

助走の間に半分決めておけば、空中は選ぶだけだよ。

もう1つ大切なのは、どれを選ぶ場合でも強打と同じ助走・同じフォームで入ることです。強打が来ると思わせるから、柔らかい選択肢が生きてきます。

割れたトスで使える6つの選択肢と選ぶ基準

ここからは、6つの選択肢を1つずつ見ていきます。それぞれ、どんな時に選ぶのかもあわせて押さえておきましょう。

選択肢①:ブロックの上を越して奥へ打つ強打

打点が高く、体勢も良く入れた時の第一候補です。打ち下ろすのではなく、ブロックの上を越して相手コートの奥へ深く打ちます。

ミートは、手のひらでボールを包み込んで押し出すイメージです。最後は手首を返して、手の甲が打球方向を向くまで振り抜くと、ドライブ回転がかかって奥でもコートの中に落ちやすくなります。

割れたトスの強打は、下へではなく前へ・奥へ振り抜きます。

選ぶ基準は、自分の打点がネットとブロックより十分に高いかどうか。ブロッカーの跳ぶタイミングがずれた時も、この強打が通りやすくなります。

選択肢②:コースを優先する軟打

体勢が崩れた時の保険になるのが軟打です。力を落として、コースを優先して空いている場所へ確実に入れます。

力を落としても、ミートの形は強打と同じです。手のひらで包み込んで押し出し、ボールを相手コートの中へ運びます。

サルくん

弱く打つのは、なんだか負けた気がします…。

あげば

ミスせず入れれば、ラリーはまだ続くよ!

選ぶ基準は、打点が足りない時や助走が合わずに体勢が崩れた時。決めることより、相手コートに確実に入れることを優先してください。

選択肢③:前の空いた場所へ落とすフェイント

相手のレシーバーが強打に備えて後ろに下がっている時は、前のスペースが空きます。そこへ柔らかく落とすのがフェイントです。

肘を伸ばしきるとボールを浮かせられないので、肘はほんの少し曲がった状態で触ります。ボールを手の中で止めず、一瞬で離すのがポイントになります。

割れたトスでのフェイントの触り方
  • 打点がブロッカーより十分高い:肘はほとんど伸びたまま、上からコースを変える
  • 打点がブロッカーに対して低い:触れてから肘を伸ばし、ややもち上げてブロックを越す
  • 落とす場所:ブロックに跳ばなかった前衛の前が空きやすい

強打とまったく同じフォームで入るからこそ、ブロッカーもレシーバーも反応が遅れます。選ぶ基準は、レシーバーが下がっているのが見えた時です。

選択肢④:空いている所へ押すプッシュ

プッシュは、腕を伸ばしてボールを押しにいく選択肢です。押す方向は前にも奥にもあり、相手コートの空いているところへ落とします。

レシーバーが下がっていれば前へ、前に詰めていれば奥へ押し出します。触れている時間が長いとキャッチの反則をとられるので、一瞬で押し出してください。

選ぶ基準は、強く振れないけれど相手の守備に空きが見えた時。フェイントより少し深い場所まで運べるのが、プッシュの強みです。

選択肢⑤:打ちきれない時のリバウンド

ブロックがそろっていて、どこにも打ちきれないと分かった時は、リバウンドで攻撃をやり直します。ブロックに軽く当てて、自分のコートへ戻す選択です。

力は3〜4割に抑えることを強く意識します。強く当てると跳ね返りが強くなり、味方がカバーしにくくなるからです。

リバウンドの3つの約束
  • 力は3〜4割に抑える
  • 手のひらでなくてもよく、腕に当たっても問題ない
  • ブロッカーの指先は狙わない(相手コート側へ流れ、相手のチャンスボールになりやすい)

選ぶ基準は、強打もフェイントも通りそうにない時。決められない1本を、ミスにせずつなぎ直せるのがリバウンドの価値です。

選択肢⑥:奥へ強く弾かせるブロックアウト

ブロックがそろって上を越せないけれど、強く振れる体勢がある時は、ブロックアウトが選べます。ブロックの手に強く当てて、ボールをコートの奥へ大きく弾かせ、レシーバーが守れないようにします。

当てにいこうとして弱く打つと、ワンタッチをとられて拾われてしまいます。ブロックアウトを狙う時こそ、しっかり強く振り抜くことが基本です。

バボット

当テルナラ 強ク振リ抜ク

トスがサイドまでしっかり伸びていて外側の手を使える時は、外側の手を狙うブロックアウトが特に有効です。場面に合わせて、狙う手や方向を選んでください。

割れたトスでの助走と入り方

どの選択肢を選ぶにしても、入り方が崩れると選べるものが減ってしまいます。割れたトスで気をつけたい入り方を2つ紹介します。

軌道が見えてから1歩目を出す

助走は、セッターからボールが出て軌道がわかった瞬間に1歩目を出すのが基本です。二段トスは高く上がることが多く、落ちてくるまでに時間がかかります。

焦って早く走り出すと、ボールを追い越して真下に入りすぎてしまいます。トスがネットから離れているぶん、助走のスタート位置も下げて、落下点に合わせて入り直しましょう。

サルくん

早く走りすぎて、ボールの下にもぐっていました!

ボールを体のやや前でとらえる

割れたトスでは、ボールを体のやや前でとらえるのが基本です。真下に入りすぎると、かぶって腕が振れなくなります。

反対に、遠いボールに届かせようとして上半身を前に倒すと、ジャンプが前へ流れてネットにかかる原因になります。踏み切りではスピードを殺さず、真上への勢いに変えて跳びましょう。

体を前に倒して当てにいかず、真上に跳んでボールを体のやや前でとらえます。

助走の合わせ方や、二段トスで待ち直す考え方は、こちらの記事でくわしく解説しています。

割れたトスでやりがちな3つの失敗

選択肢を知っていても、試合ではつい同じ失敗をくり返しがちです。よくある3つを先に知っておきましょう。

近いトスと同じ角度で叩き下ろす

いちばん多いのが、割れたトスをネットに近いトスと同じ感覚で叩き下ろしてしまう失敗です。打点とネットの距離が離れているので、ボールはネットにかかります。

割れたと分かった時点で、下へではなく前へ・奥へに切り替える。この切り替えができるだけで、ネットにかけるミスはぐっと減ります。

怖さからフェイントに逃げる

ネットにかけるのが怖くて、毎回フェイントで返してしまうのも失敗の1つです。フェイントは、強打という脅威があるからこそ効く技になります。

強打が来ないと分かれば、相手は前に詰めて待つだけです。体勢が良い時は強打やブロックアウトを選び、フェイントはここぞの場面にしぼりましょう。

サルくん

怖くて、フェイントばかりになっていました…。

あげば

強打があるから、フェイントが生きるんだよ。

毎回同じ選択をくり返す

割れたトスのたびに同じ選択をしていると、相手に読まれます。セットの序盤でいくつか試して、相手がどう守るかを見ておくことが大切です。

相手にとって一番いやなことは何かを考えながら選ぶ。この意識があると、同じ割れたトスでも決まり方が変わってきます。

よくある質問

割れたトスとネットから遠いトスは、ちがうものですか?

同じ意味です。
どちらもネットから離れた位置に上がったトスを指し、ネットに近いトスの反対にあたります。

割れたトスでも強打していいですか?

打点が高く、体勢も良く入れた時は強打で大丈夫です。
ただし下へ叩き下ろすのではなく、ブロックの上を越して奥へ深く打ちます。

リバウンドはブロックのどこに当てればいいですか?

手のひらでなくてもよく、腕に当たっても問題なくリバウンドはとれます。
指先は狙わず、3〜4割の力で当てることを意識してください。

打点が低い選手は、どれを選べばいいですか?

軟打・フェイント・プッシュ・リバウンドが中心になります。
フェイントでブロックを越す時は、触れてから肘を伸ばしてややもち上げます。

まとめ:割れたトスは前へ・奥へ、選んで打つ

割れたトスは、ネットから離れたトスのことです。叩き下ろす角度が作れないので、前へ・奥へと考え、助走の間と空中の2段階で選択肢を絞ります。

自分と相手の状況選ぶもの
打点が高く体勢も良い奥へ深く打つ強打
体勢が崩れたコースを優先する軟打
レシーバーが下がっているフェイント・前へのプッシュ
レシーバーが前に詰めている奥へのプッシュ・奥への軟打
ブロックがそろって打ちきれない3〜4割の力のリバウンド
上は越せないが強く振れる奥へ弾かせるブロックアウト

割れたトスは、強打だけで勝負せず、6つの中から選んで失点を防ぎます。

私は元日本代表としてプレーしてきた経験からも、崩れた場面で落ち着いて選べる選手は、チームにとって大きな武器になると考えています。

サルくん

次の二段トスは、前へ・奥へで打ってみます!

あげば

選べる形が増えれば、割れたトスも怖くないよ。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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