- ブロックが高くて、強打がなかなか決まらない
- フェイントを落としても、すぐ前で拾われてしまう
- プッシュという言葉は聞くけど、フェイントとの違いが分からない
こんな悩みを解決します。
プッシュは、ブロックの脇や上を抜いて、コートの奥へボールを押し込む攻撃です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、プッシュとフェイントを同じものだと思っている選手はとても多いです。
ですが、この2つは狙いがまったく違います。フェイントが「すぐ前にそっと落とす」のに対し、プッシュは肘を伸ばしきって、ボールを奥へ押し出す攻撃です。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- プッシュとフェイントの違いが、はっきり分かる
- 肘と手首の使い方など、奥へ押し込むための技術が手に入る
- ホールディングの反則を取られない打ち方の注意点が分かる
まずはスパイク全体の流れから確認したい人は、こちらのガイドもあわせて読んでみてください。
それでは、プッシュの打ち方を順番に見ていきましょう。
プッシュとフェイントの違い|「落とす」か「押す」か

プッシュは奥へ「押す・投げる」攻撃
結論からお伝えすると、プッシュとフェイントのいちばんの違いは、ボールをどうするかです。
- フェイントは、ブロックの手前にそっと「落とす」
- プッシュは、ブロックの奥へぐっと「押す・投げる」
- 飛ばす距離が、まったく違う
フェイントは、指先でやわらかくボールにふれて、すぐ前のスペースに落とします。
一方プッシュは、肘を伸ばして手首を固定し、ボールをコートの奥へ押し出します。ボールを前へ投げるようなイメージに近いです。
バボットフェイント=手前ニ落トス / プッシュ=奥ヘ押シ投ゲル
飛ばす距離で使い分ける
この違いがあるので、狙う場所も変わってきます。
フェイントは、ブロックの裏や前衛のすぐ前など、近い場所が狙いです。
プッシュは、ブロックの脇や上を抜いて、エンドライン近くまで飛ばします。後ろのレシーバーがいない深いスペースを突くのが得意な攻撃です。



じゃあプッシュは、フェイントより強く出すんですか?



そうだね。落とすんじゃなくて、奥へ押し出す。飛ばす距離が長いぶん、腕の使い方も変わってくるよ。
それでは、奥へ押し込むための技術を見ていきましょう。
プッシュの打ち方|肘を伸ばして手首を固定する


肘を伸ばしきって押し出す
プッシュの技術の核は、肘を伸ばしきって、ボールを奥へ押し出すことです。
強打のように肘をたたんでムチのように振るのではありません。打つ瞬間に、腕全体を前へぐっと伸ばします。
このとき、肘が曲がったままだとボールに力が伝わらず、奥まで飛びません。打点で肘を伸ばしきる意識が大切です。
手首は固定したまま押す
もう1つ大事なのが、手首の使い方です。
強打では打つ瞬間に手首を返しますが、プッシュでは手首を固定したまま、面で押し出すのが正解です。



手首をパタンと返さない。固定したまま、腕ごと前へ押し出すイメージだよ。
手首を返してしまうと、ボールが下に切れて手前に落ちます。それはプッシュではなく、フェイントに近い動きになってしまいます。
奥へ伸ばすには、手首を固めて、腕全体で前へ運ぶ感覚が必要です。
指の腹でボールをとらえる
ボールにふれる場所は、手のひら全体ではなく、指の腹です。
指の腹で押し出すと、ボールに方向をつけやすく、コースを狙いやすくなります。
手のひら全体でべったり当てると、ボールを包み込んでしまい、ふれる時間が長くなります。後で説明する反則の原因にもなるので、ふれるのは指の腹だけにしぼりましょう。



指の腹でコントロールして、腕で奥へ運ぶんですね!



そう。指で方向を決めて、肘を伸ばして奥へ押す。この2つがそろうと、ねらった深いコースへ飛んでいくよ。
強打と同じフォームで入ることが効果を生む


直前まで「強打を打つフリ」をする
プッシュがいちばん効くのは、相手が強打を待っている時です。
そのために大切なのが、最後の一瞬まで、強打とまったく同じフォームで入ることです。
助走も、ジャンプも、空中で腕を引く動きも、強打と同じにします。相手が「強打が来る」と思った瞬間に、押し出しへ切り替えます。



同ジフォームデ入ル=相手ガ強打ヲ待ツ=プッシュガ通ル
同じフォームだと相手の備えが裏目に出る
強打と同じフォームで入ると、相手は2つの備えをします。
- ブロッカーは、強打を止めようと手を固めて高く跳ぶ
- レシーバーは、強い球に備えて低く構える
ブロッカーが強打を止める構えで跳ぶと、奥のスペースが空きます。レシーバーが低く構えていると、奥への反応が一歩遅れます。
その裏をかいて、奥へ押し込むのがプッシュです。だからこそ、強打を打つ演技力が決め手になります。



だますための準備が、いちばん大事なんですね!
打つ前から腕を伸ばす準備をすると、相手にすぐ読まれます。あくまで強打のフォームのまま、最後の一瞬で押し出しに切り替えましょう。
ここで大切なのは、力を抜くタイミングです。テイクバックから振り始めまでは、強打と同じ勢いで入ります。そして打点に入った最後の瞬間だけ、振り抜くのをやめて押し出しへ変えるのです。
このタイミングがいつも同じだと、相手はどちらが来るか読めなくなります。
プッシュで狙うコース|奥のスペースを突く
ブロックの脇や上を抜いてエンドラインへ
プッシュの狙いは、ブロックの脇や上を抜いて、コートの奥を突くことです。
- ブロックの脇(外側)を通して、コーナーへ
- ブロックの指の上を越して、エンドライン近くへ
- 後ろのレシーバーがいない、深いスペースへ
特にエンドライン近くは、レシーバーが詰めて構えていることが多く、奥が手薄になりがちです。そこへ押し込めると、強打が止められても得点につながります。
ブロックの脇を抜く時は、ブロッカーの手と手のすき間や、ブロックの外側を通します。ブロックの上を越す時は、指の上をかすめるように高い打点で押し上げます。
どちらも、相手の手のすぐ向こうにある空間へ運ぶイメージです。
コーナーへのコース取りを意識する
奥のスペースの中でも、左右のコーナーは特に有効です。
コーナーは、レシーバーから遠く、しかもラインぎりぎりに入れば取りにくいからです。



まっすぐ奥よりも、左右のコーナーをねらうと決まりやすい。指の腹で方向をつけて、角へ運ぼう。
ストレート方向のコーナー、クロス方向のコーナー、どちらも狙えるようになると、相手は的をしぼれなくなります。
打つ方向の決め方や体の向きについては、コース打ち分けの記事もあわせて読んでみてください。
高い打点で押し込むほど奥へ届く
奥まで届かせるには、できるだけ高い打点で押し出すことが大切です。
打点が低いと、ブロックの上を越せず、奥へも飛びません。高い位置でとらえるほど、押し出す角度に余裕が生まれます。



やっぱり高い打点が土台なんですね。強打もプッシュも一緒だ!
つまりプッシュも、高く跳んで高い打点でとらえるという、スパイクの基本がそのまま土台になります。
ホールディングの反則に注意|押す動作はスピードが命
ボールを持つとホールディングを取られる
プッシュで気をつけたいのが、ホールディング(ボールを持つ反則)です。
ボールを押し出す動きは、長くふれているとボールを持ったと判定されやすくなります。
ボールにふれる時間が長いと、ホールディングを取られて失点になるので注意が必要です。



押ス時間ガ長イ=ホールディング=相手ニ1点
一瞬でパッと押し出す
反則を取られないコツは、ボールにふれる時間を短くすることです。
- ボールを運びすぎず、一瞬でパッと押し出す
- 肘の伸ばしを素早くして、ふれる時間を短くする
- 手のひらで包み込まず、指の腹で短くとらえる
ゆっくり運ぼうとすると、どうしてもふれる時間が長くなります。肘を素早く伸ばして、短い時間で押し出すことを意識しましょう。



「奥へ運ぶ」と言っても、ボールに長くふれるわけじゃない。短く、でも腕は前へしっかり伸ばす。このバランスが大事だよ。
審判の基準も頭に入れておく
ホールディングの判定は、審判によって少し幅があります。
きわどい押し出しを多用すると、取られるリスクが上がります。あくまで短く、はっきり押し出すことを基本にしましょう。
正式なルールの考え方は、反則の記事でも整理しています。
プッシュが効く場面・効きにくい場面
効くのは「相手が強打を警戒している時」
プッシュは、いつ使っても決まる技術ではありません。効く場面を見極めることが大切です。
- 相手が強打を強く警戒して、低く構えている時
- ブロックが高く跳んで、奥のスペースが空いている時
- 連続で強打を打ったあと、相手が前に詰めてきた時
特に、何本か強打を打ったあとは効果が上がります。相手の頭に「また強打が来る」という意識が残るので、奥への押し出しが通りやすくなります。



強打を見せておくほど、プッシュが効く。逆に言うと、強打を打てない選手のプッシュは読まれやすいんだ。
効きにくいのは「奥が守られている時」
逆に、相手が奥のスペースをしっかり守っている時は、無理に狙わないほうがいいです。
レシーバーがエンドライン近くまで下がっている場合、奥へ押しても簡単に拾われてしまいます。



じゃあ、相手の守りを見てから決めるんですね?



そう。奥が空いていればプッシュ、詰まっていれば強打。トスが上がった瞬間に相手の位置を見て選ぶといいよ。
プッシュは「強打という脅威があるから効く裏のワザ」です。多用すると読まれるので、ここぞの場面にしぼって使いましょう。
プッシュの練習法|距離感とスピードをつかむ


まずは奥へ押す距離感をつかむ
プッシュは、奥へ届かせる距離感が大切です。まずはその感覚をつかむ練習から始めましょう。
最初はジャンプせず、立ったまま腕の使い方だけを確認します。肘を伸ばしきる感覚と、奥へ届く距離感が分かってきたら、ジャンプを加えましょう。
強打と同じフォームから切り替える
距離感がつかめたら、強打のフォームから切り替える練習をします。
強打を打つつもりで助走・ジャンプし、最後の一瞬で押し出しへ変えます。フォームが同じに見えるほど、試合で効きます。



鏡やスマホで自分のフォームを撮ってみよう。強打とプッシュで、最後まで同じ形に見えればOKだよ。
慣れてきたら、ブロッカーをつけて、その脇や上を抜く練習に進みます。
短い時間で押す感覚を反復する
ホールディングを防ぐため、短くパッと押す感覚も練習で身につけます。
ゆっくり運ぶクセがつくと、試合で反則を取られやすくなります。最初から、肘を素早く伸ばして短くとらえる動きを反復しておきましょう。
慣れてきたら、強打とプッシュをランダムに混ぜて打つ練習がおすすめです。味方や指導者に、どちらを打つか分からない状態で見てもらい、見分けがつかなければ合格です。



強打と同じ形、短く押す、奥をねらう——意識して練習します!
よくある質問
まとめ|プッシュは奥へ押し込んでブロックをかわす
この記事では、プッシュの打ち方を解説しました。
ポイントは、肘を伸ばしきって手首を固定し、指の腹でコートの奥へ押し出すことです。強打と同じフォームで入り、ブロックの脇や上を抜いて深いスペースを突きましょう。
ホールディングを取られないよう、短くパッと押し出すことも忘れないでください。



落とすんじゃなくて、奥へ押す。違いがやっと分かりました!



その通り。強打という脅威があるからこそ、奥へのプッシュが効くんだ。ここぞの場面で使ってみてね♪
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。ルールや国際大会の情報は、日本バレーボール協会(JVA)や国際バレーボール連盟(FIVB)の公式サイトもあわせてご確認ください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
スパイクについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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