
- 「重心移動が大事」と言われるけど、そもそも重心ってなに?
- 重心移動は何のためにするのか分からない…
- 重心移動の正しいやり方を知りたい…
こんな悩みを解決します。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールを運営してきた経験から言えるのは、パスが安定しない選手の多くは「腕の形」ではなく「足と重心の使い方」に課題があるということ。具体的には、次の症状が出ます。
- ボールを返したあとに体が後ろへ流れる
- セッターまで届かせようとして腕を振ってしまう
- 正面のボールは返るが、少し前後にずれると崩れる
- レシーブ後の次の動きが遅い
私の指導経験では、パスの安定感を支える要素として「重心移動」「構えのポジション」「腕の振り」の3つを大きく見たとき、足と下半身(=重心移動+構え)が全体の体感で7〜8割を占める印象です。
実際の数値で示せるわけではありませんが、腕の練習ばかりで伸び悩んでいた選手が、重心移動を見直すと急に安定する場面を何度も見てきました。
この記事では、「重心とはなにか」という基本から、実際のパスでどう重心を移動させるのか、そしてできない場面の対処法まで、できるだけかみ砕いて解説します。
バレーへの愛をもっと深めたい人には、アニメ「ハイキュー!!」もおすすめです。臨場感のある試合描写・チームの成長物語を観ると、明日の練習がもっと楽しくなります。
- 「重心」と「重心移動」の意味が中学生でも分かるように理解できる
- パスでの重心移動の3ステップ手順が手に入る
- 重心移動ができない場面での代替テクニックが分かる
関連記事も合わせて読むと、パスの全体像がより深く理解できます。
それでは、まず「重心」という言葉の意味から見ていきましょう。
そもそも「重心」とは?

物理の教科書を見ると、重心とは「物体の質量に対して働く力の合力の作用点」と書かれています。
…はい、難しすぎます。
中学生・高校生にも分かるように一言で言えば、重心とは「一番体重が乗っている位置」のこと。これでOKです。
バボット重心=体重ノ集中点
例えば、まっすぐ立っているとき、体重は両足の真ん中に乗っています。
これが「重心が中央にある」状態。
足を前後に開いて前足に体重をかけると、重心は前足側に移動します。
つまり、重心移動とは「体重の乗っている位置を意図的にずらす動き」ということになります。
「重心移動」と「体重移動」は同じ意味
指導現場では「重心移動」と「体重移動」が同じ意味で使われています。どちらの言葉を聞いても、同じことを言っていると思ってOKです。



バレー部の先生は「体重移動」って言うんですよね…



うん、どっちも同じ意味だよ。難しく考えなくて大丈夫。
なぜパスで重心移動が大事なのか


「重心移動が大事」と言われる本当の理由は、ボールに「一定方向に・一定時間」しっかり力を加えられるからです。
腕だけでパスを出すと、ボールに触れている時間が一瞬になります。これだとボールへの力の加わり方が不安定で、コントロールが効かなくなるんです。
逆に、足の動きを使って体ごと前に出していくと、ボールに長く触れることができて、ボールに対して安定した力を加えられます。



腕ダケ=瞬間タッチ、重心移動=継続タッチ
ビーチバレーで考えると分かりやすい
私はビーチバレーでも日本代表として活動してきましたが、ビーチバレーでは重心移動の重要性が体育館の何倍も明確になるんです。
理由は風です。
ビーチでは風が常に吹いているので、「ポンッ」と一瞬触るだけのパスだと、ボールがそのまま風に流されて思った場所に届きません。
なので、ビーチでは特に体ごと前に出してボールを押し続ける必要があります。これがまさに重心移動を使ったパスです。
体育館でも風はないですが、パスの安定感を出すには、風があると仮定したつもりで重心移動を意識した方が良いんです。



風に負けないパスをイメージするのが、重心移動の感覚を掴むコツだよ。
重心移動はどれくらいパスに影響するのか
これは厳密な統計ではなく、あくまで私の指導感覚をパーセンテージで近似したイメージです。
| 要素 | パス成功への影響度(指導感覚) |
|---|---|
| 重心移動 | 概ね 6 割 |
| 構えのポジション | 概ね 2.5 割 |
| 腕の振り | 概ね 1.5 割 |
合計すると、足の動き(重心移動+構え)で 8 割超を占める体感です。
数字の細部より大事なのは、パスがまっすぐ返らない原因のほとんどは「腕」ではなく「足」にあるという考え方。
指導現場でも「腕を直しても改善しない選手」が、足から見直すと数週間で安定するケースが多いです。



「腕の練習ばかりしている」選手は、伸び悩む傾向が強いです。
重心移動のやり方:3ステップ


ここからは実際の重心移動のやり方を解説します。手順はとてもシンプルで、以下の3ステップです。
【ステップ①】膝を曲げつつ足を前後に開く
まず構えの段階で、膝を軽く曲げて足を前後に開きます。
ここで大事なのは前足は軽く、後ろ足にやや体重を乗せておくこと。
やや後ろ重心の状態を作っておくと、次のステップで前への移動がスムーズに始まります。



構エ=体重ハ後ロニ
【ステップ②】後ろ足で床を前方向に蹴る
ボールが手に当たる瞬間、後ろ足で床を前方向に「ぐっ」と蹴ります。
この動きが、重心を後ろから前に移動させる原動力になります。
「蹴る」というと強く踏み込むイメージかもしれませんが、実際には床を後ろ向きに押し出すイメージの方が近いです。
スケートで前に進むときに、後ろ足で氷を後ろに押すあの感覚に似ています。



スケートのイメージ、分かりやすいです!



イメージで動くって大事だよ。技術の習得が早くなるからね。
【ステップ③】前足に体重を前に乗せていく
最後に、移動してきた体重を前足にしっかり乗せます。
この瞬間、上半身も自然と前に押し出されるので、ボールにも前方向の力が伝わります。
理想的なフィニッシュは、前足に8割、後ろ足に2割の体重がかかっている状態。



前8、後2、コノ比率ガ理想
上半身も連動させる
3ステップに加えて、上半身もこの足の動きに合わせて連動させると、さらに正確なパスが出せます。
具体的には、ボールに触れる瞬間に膝を伸ばして体を上にも持ち上げると、ボールに上方向の力も加わるので、セッターまでの距離が伸びやすくなります。



「下半身→上半身」の連動ができる選手は、安定したパスが出しやすくなります。
重心移動ができない場面での対処法


ここまで重心移動が大事と力説してきましたが、実際のゲームでは重心移動が使えない場面もたくさんあります。
そんなときの対処法を、オーバーハンドパスとアンダーハンドパスに分けて解説します。
オーバーハンドパスの対処法
オーバーハンドパスで重心移動が使えない代表的な場面は、「ボールが自分より後ろに来ていて、下がるのが間に合わない場合」です。
このときは態勢を崩さない範囲で、腕の力でボールを押し出すのが基本です。
「態勢を崩さない範囲」と言っているのは、パスを出した後すぐに次の動きに入る必要があるから。
体を反って遠くに飛ばそうとすると、その後の動きが遅れてしまいます。
ただし、「とにかくセッターまで届かせたい!」という緊急の場面では、思いっきり腕を使って遠くに飛ばすのもアリです。



場面によっては「綺麗さ」より「届くこと」が優先だからね。
アンダーハンドパスの対処法
アンダーハンドパスで重心移動が使えない場面は、「横や後ろに来たボールを追いかけている場合」「膝をついてしまった場合」など。
このときは腕を振ってボールを押し出すのが基本です。
「先生に手を振るなと言われた」という人もいるかもしれませんが、それはあくまで「重心移動が使える場面」での話。
足が使えないなら、肩から先の自由に動かせる部分を使うしかありません。



重心移動不能時、腕ヲ使ウハ正解



先生にもう一度確認してみます!



きっと先生も「そういう場面では腕を振っていい」と教えてくれるはずだよ。
重心移動が身につかない人の3つの共通パターン


スクールで指導していると、なかなか重心移動が身につかない選手にはいくつか共通したパターンがあります。
事前に知っておけば、自分が同じ落とし穴にはまるのを防げるので、ぜひチェックしてみてください。
パターン①:構えがそもそも「立ちっぱなし」
重心移動以前の問題で、構えの段階で膝が伸び切っている選手はかなり多いです。
膝が伸びていると、後ろ足で床を蹴る動作ができず、重心移動も起きません。
まず構えで膝を曲げる、これが大前提です。



棒立チ=重心移動不可
パターン②:足が左右並行のまま
両足が真横に並んだ状態だと、前後の重心移動はできません。
必ず片方の足を半歩前に出す「前後スタンス」を作ってください。



利き足を前に出すか後ろに出すかは、好みでOKだよ!
パターン③:腕の振りに意識が行き過ぎている
「腕を振らずに体で押す」と教わっても、実際にはどうしても腕に意識が行きがちです。
意識を変える簡単な方法は、あえて腕を完全に固定して、足だけでパスを出してみる練習。
最初はうまく飛びませんが、足の使い方の重要性が体感できます。



「腕を使わずパス」、変な感覚だけど確実に上達するよ。
パスで強くおすすめしない「打った後に下がる」癖


最後にもう1つ、声を大にしてお伝えしたいことがあります。
それは、パスを出した後に下がってしまう選手がとても多いということ。
スクールで指導していても、本人が気づかないうちにこの癖がついているケースが大半です。
なぜ「下がる」のがダメなのか
バレーボールでは、パスを出した後は基本的に「次の動き」に向かって前に進む必要があります。
レシーブからすぐにフォローやスパイクの助走に入る、ブロックの後にレシーブポジションに戻る、など、すべての動きは「前」または「サイド」への移動が前提。
なのに、パスを出した瞬間に「ふっ」と一歩下がってしまうと、その分次の動きが遅れます。



この「打った後に下がる」癖は、本人が気づいていない場合がほとんどです。
直し方:意識して「前にステップ」を入れる
直すコツはシンプルで、パスを出した瞬間に意識して前足を1歩前に出すこと。
最初は不自然に感じますが、2週間も続けると体に染み込んで自動化されます。



「打った後の1歩前」、これを今日から意識してみてね。
ちなみに、この「打った後に下がる癖」がついている選手は、レシーブで攻撃に参加できないため、得点機会を大きく逃しがちです。直すだけでチームへの貢献度がぐっと上がります。
重心移動 よくある質問
ここでは、指導現場でよく寄せられる質問にまとめてお答えします。
Q1. 「重心移動」と「体重移動」は同じですか?
同じ意味で使われています。指導者によって呼び方が違うだけで、どちらの言葉を聞いても「体重が乗っている位置を意図的にずらす動き」と思って大丈夫です。
Q2. 強打レシーブでも重心移動するんですか?
強打のディグでは、重心移動より「重心を止めて面で受ける」感覚の方が大切な場面が多いです。
スピードが速いボールは押し出す時間がないので、構えで作った重心の位置でそのまま面を作って返球します。
一方、アンダーパスやサーブレシーブでは時間があるので、重心移動でボールを運ぶイメージで返します。
Q3. 重心移動ができているか自分でチェックする方法は?
ボールを返したあとに「前へ自然に1歩出ているか」が一番分かりやすい目安です。
返したあとに止まる・下がる・体が後ろへ流れる場合、ほぼ確実に重心移動ができていません。
スマホで動画を撮って、返球後の体の流れる方向を確認するのがおすすめです。
Q4. 重心移動の練習だけを単独でやる方法はありますか?
おすすめは「ノーハンド体重移動ドリル」です。
腕を組んだまま前後スタンスの構えを作り、後ろ足から前足へ体重を移す動きだけを繰り返します。
ボールを使う前に重心が前に乗る感覚を体に覚えさせるのが目的。慣れたらキャッチ&ステップ(ボールを取った瞬間に1歩前へ出る)で、実戦に近づけていきます。
Q5. オーバーパスとアンダーパスで重心移動の使い方は変わりますか?
基本の考え方は同じですが、オーバーパスでは「下から押し上げる」イメージで重心を上方向にも持ち上げる動きが加わります。
一方、アンダーパスはほぼ水平方向に体重を移すだけで十分。どちらも「腕より先に足が動いている」ことが大切です。
まとめ


この記事では、パスの85%を決める「重心移動」について解説しました。最後に重要なポイントを振り返りましょう。
重心移動の3ステップ手順
- 膝を曲げつつ足を前後に開く(やや後ろ重心)
- 後ろ足で床を前方向に蹴る
- 前足に体重を前に乗せていく(前8:後2)
重心移動が使えない場面の対処法
| パターン | 対処 |
|---|---|
| オーバーハンド+下がれない | 態勢を崩さない範囲で腕で押し出す |
| アンダーハンド+横へのフライング | 腕を振って押し出す |
強くおすすめしない癖
- パスを出した後に「下がる」(次の動きが遅れる)
- 直し方:出した瞬間に意識的に前足を1歩前へ
私は元日本代表として、またコーチとして10年以上指導してきた経験から、重心移動を理解した選手は半年以内に必ずパスが安定すると実感しています。
「重心移動」という言葉は難しそうに聞こえますが、要は「体重を後ろから前に移動させる」たったそれだけのこと。
3つのステップを今日から意識して、まずは構えで「やや後ろ重心」を作るところから始めてみてください。



今までずっと腕で頑張ってきたけど、足から変えてみます!



足から変える、それが本当の上達への近道だよ。
そして重心移動が身についた選手は、不思議とほかの技術もどんどん伸びていきます。
スパイクの助走、ブロックのステップ、サーブの踏み込み、すべてに「足の使い方」が関わっているからです。バレーボールというスポーツの基盤は、実は「足」なんですよね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
パスや基礎技術については他にも記事を書いています。気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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