
- レシーブが「あと1歩」届かないことが多い
- スパイクの助走が間に合わない/ブロックで横に振られる
- 1歩目が遅いのは「足が遅いから」と思って諦めている
こんな悩みを解決します。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
バレーボールは、ボールに触っている時間よりも、ボールに触るために移動している時間の方が圧倒的に長いスポーツです。
- レシーブが後1歩届かない・・・
- 助走が間に合わない・・・
- ブロックで振られる・・・
これらの原因を突き詰めると、手の使い方(ハンドリング)以前に、ボールの落下地点に入るまでの移動(基本動作)に問題があるケースがほとんどです。
この記事では、スパイクやレシーブという個別技術(アプリ)を動かすための「OS(基本ソフト)」——構え・反応・移動・連携——を順番に解説します。
トップ選手と中学生の最大の違いは、ジャンプの高さやスイングの速さよりも、「ボールが上がる前に、もう正しい場所にいる」ことだと言っても過言ではありません。
基本動作は地味で目立ちませんが、ここを磨くと、同じ筋力・同じ身長のままでもプレーの質が一段上がります。
逆に、ここが抜けたまま個別技術だけを練習しても、試合では「届かない・間に合わない」がいつまでも続いてしまいます。
サルくんずっと「足が遅いから届かない」と思ってました…



そこが大きな誤解なんだ。コートの中で速く動けるかどうかは、走力じゃなくて「準備」と「身体の使い方」で決まる。今日でその考え方を変えていこう。
- すぐ動ける「パワーポジション(構え)」の作り方
- 1歩目を速くする「反応」と「始動」のコツ
- コート内を最短で動くステップと、味方とつなぐ連携
それでは、基本動作を「準備→反応→移動→連携→練習」の順に見ていきましょう。
1. 構えと視覚情報:すべては「準備」で決まる


速く動くためには、速く動ける準備が必要です。1歩目が出ない原因の多くは、筋力不足ではなく「準備不足(構えと目の使い方)」にあります。
パワーポジション(構え)
いつ、どこにボールが来ても瞬時に反応できる姿勢を「パワーポジション」と呼びます。
ポイントは、ただ膝を曲げて低くするのではなく、背骨をまっすぐ保ったまま股関節から前傾し、重心を母指球(足の親指のつけ根)に乗せることです。こうすると、すぐに地面を蹴って動き出せます。



良イ構エ=背骨マッスグ+股関節デ前傾+重心ハ母指球。膝ダケ曲ゲルハ✕



「低く!」と言われて背中を丸める子が多いけど、それは逆効果。お尻を後ろに引いて、胸を張ったまま前傾するのが、すぐ動ける構えだよ。
具体的な足幅は、肩幅より10〜30cm広げるのが目安です。つま先はやや外(15度くらい)に向け、左右の足はほぼ横並びにします。体重は母指球(足の親指のつけ根)に乗せますが、かかとは無理に浮かせる必要はありません。浮かせると不自然になる人は、床につけたままでOK。母指球に体重が乗っていれば、どちらでも問題ありません。
腕は力を入れて構えるのではなく、へその高さあたりで軽く前に出し、いつでもボールに触れる状態にしておきましょう。
なぜ母指球(足の親指のつけ根)に重心を置くのかというと、人が動き出すときは必ずいったん重心を移したい方向へ倒すからです。
かかと体重だと、一度つま先側へ体重を移してからでないと動けず、その分だけ遅れます。
最初から母指球に乗っていれば、その1テンポを丸ごと省けるのです。



かかと体重=動キ出シニ1テンポ遅レル / 母指球=スグ倒レテ動ケル
ただし、前のめりになりすぎて上体だけが突っ込むのは逆効果です。あくまで股関節から折って、頭・背中・お尻が1枚の板のように傾くのが理想。
鏡で横から見て、背中が丸まっていないかを確認しましょう。
また、構えは「ずっと低いまま」でいる必要はありません。ラリーが続いている間や相手が打つ直前にだけ、しっかり構えれば十分です。
常に力んで低く構えていると、肝心の場面で脚が疲れてしまいます。
「相手がボールに触れる直前に、スッと構えを作る」——このリズムをつかむと、長いラリーでも集中力と脚力を最後まで保てます。逆に、ボールが自分から遠いときは、軽く立って体力を温存しておくのも大切な判断です。
なお、ここでは構えの基本を解説しました。守備でいちばん使うレシーブの構え方は、足幅・重心・手の位置・場面別の調整まで専用記事でさらに詳しく解説しています。
目の使い方と予測
ボールを凝視しすぎると周りが見えなくなり、反応が遅れます。相手のフォームやコート全体をぼんやり捉える周辺視野を使いましょう。
さらに、「相手がどう打つか」を相手の助走や肩の向きから読む「予測」ができると、1歩目のスタートが一気に早くなります。
周辺視野を使うコツは、視点を1点に固定せず、ネット全体をぼんやり眺める感覚を持つことです。
ボールだけを目で追うと、視野が狭まって相手の動きやコートの空きが見えなくなります。
慣れないうちは、相手のセッターとスパイカーを「同時に視界へ入れる」ことを意識すると、自然と広く見られるようになります。



上手な選手は「ボールが来てから動く」のではなく「来る前に動き出して」います。予測は経験で必ず伸びる力ですよ。
よくある構えの間違い
指導現場で特に多いのが、次の3つの間違いです。心当たりがないか確認してみてください。
- 棒立ち:膝が伸びていて、動き出しに沈み込みのワンクッションが必要になる
- 背中の丸まり:「低く」を意識しすぎて猫背になり、視野も足の力も使えない
- かかと体重:重心が後ろにあり、前へ落ちるボールに突っ込めない
どれも「低くしよう」という意識が、間違った方向に出てしまった結果です。大切なのは「低さ」そのものではなく、「すぐ動ける状態か」。
極端に低く構えなくても、股関節が折れて母指球に乗っていれば、十分に速い1歩目が出ます。



「低く!」より「すぐ動ける?」を合言葉にしよう。低さは目的じゃなくて、いい構えの結果なんだ。
2. 反応と始動:0.1秒を縮める身体操作


ボールが打たれた瞬間、いかに速くトップスピードに乗れるか。ここには「筋力」ではなく物理の使い方というテクニックがあります。
スプリットステップ(予備動作)
テニスやバドミントンと同じく、バレーでも相手が打つ瞬間に小さくジャンプして着地する「スプリットステップ」が有効です。
着地の反動を使うことで、棒立ちから動き出すより圧倒的に速く1歩目が出ます。



打たれる瞬間に軽くポンと跳んでおくんですね!
ポイントは、跳ぶ高さよりも「タイミング」です。相手のスパイカーがボールに触れる、まさにその瞬間に着地が重なるように、小さく跳びます。
高く跳ぶ必要はまったくなく、かかとが床から数センチ浮く程度で十分。
大きく跳ぶと空中にいる時間が長くなり、かえって反応が遅れてしまいます。
最初は「相手が打つ→自分が小さく沈む」のリズムを、声に出して数えながら練習すると身につきやすいです。
サーブレシーブでもラリー中でも、相手がボールに触れる直前には必ずこの予備動作を入れる。
これを習慣にできると、1歩目の速さが大きく変わります。
抜重(ばつじゅう)
地面を強く蹴って動こうとすると、一度沈み込む動作が入って遅れます。そうではなく、膝の力を一瞬抜いて、重力で倒れ込むようにスタートする「抜重」を覚えましょう。



「蹴って動く」より「力を抜いて落ちる方向へ動く」。最初の半歩がふっと軽くなる感覚をつかめると、反応が見違えるよ。
抜重のコツは、構えで母指球に乗せておいた体重を、行きたい方向の足からふっと抜くことです。
すると体が自然にその方向へ傾き、倒れ込む力でスタートできます。
地面を強く蹴る意識が強い人ほど、いったん沈んでから蹴るので遅れがち。「力を入れる」より「力を抜く」が始動のキーワードです。
予測力を鍛える
1歩目を速くする最大の武器は、実は筋力でも反射神経でもなく「予測」です。
相手のトスが上がった瞬間に、どこへ・どんな球が来るかを先読みできれば、ボールが打たれる前から動き出せます。
予測の手がかりは、相手のトスの高さと位置、スパイカーの助走の角度、そして打つ直前の肩の向きです。
これらは一朝一夕では読めませんが、毎回「次はどこに来そうか」を意識してプレーするだけで、半年・1年で大きく伸びていきます。



「ヤマを張る」のとは違います。根拠のある予測は、経験を積むほど確実に当たるようになりますよ。
もう1つ、反応を助けてくれるのが「音」です。相手のスイング音やボールがヒットする音は、目で捉えるより一瞬早く情報をくれることがあります。
視覚だけに頼らず聴覚も使ってボールを感じると、反応のきっかけが増え、始動がさらに速くなります。
ベテラン選手が「音で分かる」と言うのは、長年の経験でこの感覚が研ぎ澄まされているからです。
3. 移動と接地の技術:コート内を自在に動く


構えと始動ができたら、次は目的地まで最速で移動する技術です。距離に応じてステップを使い分けます。
ステップの使い分け
短い距離は「サイドステップ」、長い距離は「クロスステップ」。この2つを無意識に切り替えられることが、フットワークの基本です。



近イ=サイドステップ / 遠イ=クロスステップ。状況デ自動切替ガ理想
サイドステップは、両足を交差させずに横へ運ぶ動きです。体の正面を相手コートに向けたまま動けるので、いつでもボールを正面で受けられ、細かい位置調整に向いています。
一方クロスステップは、足を交差させて大きく跳ぶように移動する動きで、遠いボールへ最短で届きます。試合では、この2つを頭で考える前に切り替えられることが理想です。
練習では、コーチや味方が指さした方向へ「近ければサイド、遠ければクロス」を反射的に選ぶドリルが効果的。
そして最後の1歩で必ず体の正面をボールへ向け直すと、移動の勢いがそのままレシーブの安定につながります。
接地技術
ドタドタと足音を立てて走ると、接地時間が長くなり方向転換が遅れます。床を強く蹴らず、足を素早く運ぶ意識を持ちましょう。
ボールへ飛び込むスライディングは、ケガを防ぐためにも身につけたいスキルです。



足音が静かな選手ほど、次の動きが速いもの。「忍者のように動く」をイメージしてみましょう。
なぜ静かな接地が速さにつながるかというと、足を強く踏み込むほど、地面からの反発を受け止めるために接地時間が長くなり、次の動きへの切り替えが遅れるからです。
足裏全体でドンと着くのではなく、足を素早く運んで「軽く触れてすぐ離す」イメージをもちましょう。
ボールへの入り方(回り込み)
速く移動できても、ボールの真後ろに入れなければ良いパスは返りません。
ボールに対してまっすぐ突っ込むのではなく、やや回り込んで「自分・ボール・返したい方向」が一直線になる位置に入るのが理想です。
特にサーブレシーブでは、横っ飛びで触るより、半歩でも回り込んで正面で受けるほうが、返球の精度が格段に上がります。
移動のゴールは速く着くことではなく正しい向きで止まれることだと意識しましょう。
止まるときのコツは、最後の1歩を少し大きく踏み出し、両足で地面をしっかり踏んで重心を落とすことです。勢いよく走ったまま手を出すと、体が前へ流れてボールをコントロールできません。
「最後の1歩で止まる→正面で構え直す→触る」の順番を、移動練習のたびに意識しましょう。
急いでいるときほど、この止まる動作が雑になりがちなので、ゆっくりした球出しから丁寧に練習するのがおすすめです。



速く動く練習をすると、つい「着くこと」がゴールになりがち。
でも本当のゴールは、正面で構え直して「止まれる」こと。ここまでをセットで練習しよう。
この「移動して正面で止まる」感覚は、スパイクの助走でも同じように活きてきます。
4. 連携と声出し:ボールをつなぐためのルール


バレーはつなぐスポーツです。個人の動きが良くても、連携が取れていなければボールは落ちます。
声出しの技術
必要なのは気合いの声ではなく、「オーライ(自分が取る)」「ジャッジ(任せる)」など、具体的な情報を伝える“技術としての声”です。



ただ大きい声を出せばいいと思ってました…



大事なのは音量じゃなくて「誰が・何をするか」が一瞬で伝わること。短い合言葉をチームで決めておくといいよ。
実際の試合で役立つコールには、次のようなものがあります。「オーライ(自分が取る)」「ジャッジ(触らず見る・任せる)」「ワン(ワンタッチした)」「カバー(フォローに入る)」。
どれも1語で状況が伝わるのがポイントです。長い言葉は、言い終わる前にプレーが進んでしまいます。
そして声は、ボールが来てからではなく、来る前に出すのが鉄則です。早めにコールすることで、味方は安心して自分の役割に集中できます。
お見合いの防止
誰が取るか分からずボールを見送る「お見合い」は、声不足だけでなく優先順位のルールを決めていないことが原因です。
「中央が優先」「前の人が優先」などを事前に共有しておきましょう。
お見合いと同じくらい多いのが、逆に2人が同時に行ってぶつかる「重なり」です。これも、優先順位とコールが決まっていれば防げます。
「迷ったら声を出した人が取る」という単純なルールを徹底するだけでも、ミスは大きく減ります。
ポジションごとの守備範囲
連携をスムーズにする土台が、一人ひとりの「守備範囲」の共有です。
自分がどのエリアまで責任を持つのかが曖昧だと、境目のボールで必ずお見合いか重なりが起きます。
基本は、コートを縦に区切って隣同士の範囲を少しだけ重ね、その重なった部分は「より正面で入れる人」や「コールした人」が取る、と決めておくこと。
後衛なら自分の前のエリア、前衛ならブロックの脇から抜けてくるボール、というように、ローテーションごとの役割もチームで確認しておきましょう。



守備範囲ハ「少シ重ネテ」共有 / 境目ハ コールシタ人 or 正面ノ人 ガ取ル
5. 基礎練習と身体づくり


理論を頭に入れたら、体を動かして動きを定着させましょう。
- ラダーを使った神経系トレーニングで足さばきを鍛える
- コート内を縦横に動く「スパイダーラン」で反応と移動を鍛える
- 股関節の柔軟性を上げ、低い姿勢をラクに保てるようにする
特に心拍が上がった状態でも動き続けられる体力(心肺機能)は、試合後半のプレー精度を大きく左右します。基礎体力づくりも、立派な基本動作の一部です。
それぞれの練習には、はっきりとしたねらいがあります。ラダーは「足を速く正確に動かす神経系」を、スパイダーランは「方向転換と反応」を、ストレッチや股関節のトレーニングは「低い姿勢をラクに保てる柔軟性」を養います。
バラバラにやるよりも、ねらいを意識して取り組むほうが効果は高まります。
年代によって、力の入れどころは変わります。小・中学生のうちは、重い負荷をかけるより、ラダーや鬼ごっこ・ステップ遊びのように「楽しく素早く動く」練習で神経系を鍛えるのが最優先です。
高校生以降は、それに加えて体幹やスクワットなどで土台の筋力を足していくと、動きがさらに安定します。



遊びみたいな練習でも、ちゃんと意味があるんですね! がんばります。



派手な技術じゃないからこそ、コツコツ続けた人だけが手に入れる武器。基礎の動きが変わると、レシーブもスパイクも全部ラクになるよ。
基本動作の練習は、1回や2回で劇的に変わるものではありません。
けれど、毎日の練習の最初の5分でいいので「構え」と「1歩目」を意識する時間を作ると、数か月後には体が自然に動くようになります。
試合で考えなくても動けるレベルまで落とし込むことが、基礎練習の本当のゴールです。
自分の動きは、自分ではなかなか分かりません。スマホで横や後ろから動画を撮り、構えの姿勢や1歩目のタイミングをチェックすると、直すべき点がはっきり見えてきます。
お手本にしたい選手の動きと見比べてみるのも、上達の近道です。
パスにつながる「重心移動」のコツは、専門記事で詳しく解説しています。
バレーボールの基本動作 よくある質問
ここでは、指導現場でよく寄せられる質問にまとめてお答えします。
まとめ:フットワークは「才能」ではなく「技術」


この記事では、バレーボールの基本動作(身体操作)を解説しました。最後に重要なポイントを振り返りましょう。
基本動作の4つの柱
| 柱 | 内容 |
|---|---|
| 構え | 背骨まっすぐ・股関節で前傾・母指球に重心 |
| 反応 | スプリットステップと抜重で1歩目を速く |
| 移動 | サイド/クロスステップの使い分けと静かな接地 |
| 連携 | 技術としての声と、優先順位のルール |
そして速く動く力は走力ではなく「準備」と「理にかなった身体操作」で決まることを覚えておきましょう。



「足が速い・遅い」で諦めなくていい。まずはパワーポジションの見直しから。コートの景色が変わって見えるはずだよ。
基本動作が身につくと、スパイク・サーブ・パスといった1つひとつの技術も、ぐっと習得しやすくなります。次のステップとして、あわせて読んでみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
基本動作については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
バレーボールをもっと好きになる「ハイキュー!!」
私の指導現場でも、選手のメンタルや戦術理解を深める教材としておすすめしているので、ぜひ一度見てください♪
▼ Amazon プライム会員なら全シーズン無料視聴(30日間無料体験)
※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。30日以内に解約すれば無料です。


